2月定例研修会・倫理研修 報告
【日 時】 2023年2月3日(金) 19:30~21:30
【テ ー マ】 「クライエントの自己決定の尊重」
【話題提供者】 石井 裕子 氏 (丸亀市健康福祉部福祉課)
【参加者数】 13名
●研修報告
今回の研修は、「クライエントの自己決定の尊重」をテーマに、専門職としての価値や倫理観について、グループワークを通じ、振り返ることを目的としたものであった。丸亀市健康福祉部福祉課の石井裕子氏より、自己決定の尊重に関する実践の話題提供をいただき、それをもとに3~4名のグループに分かれ、以下の内容でグループワークを実施した。
① 石井さんの話題提供を聴いて、「自己決定の尊重」という観点から感じたこと
② クライエントの自己決定の尊重のために、日頃のかかわりで大切にしていること
③ 明日からの決意、展望、抱負など
それぞれの項目について各グループから代表者1名が発表を行った。内容については以下の通りである。
①石井さんの話題提供を聴いて、「自己決定の尊重」という観点から感じたこと
専門職の観点から、こちらの選択肢の方が有効であるとわかっていたとしても、本人の考えを優先すると、歯がゆい思いをすることもあったかもしれない。また、本人の希望を叶えたくても叶えづらいこともあったのではないか。
自己決定を尊重したいが、その人がおかれた現実や周囲の人との関係など状況によって困難であることもあるため、支援者と本人が方向性を整理していくことが大切なことではないかと感じられた。
②クライエントの自己決定の尊重のために、日頃のかかわりで大切にしていること
本人が揺れ動く気持ちについてどのように整理をするのか、なんでも言える関係作りが大切だと思う。
自己決定を尊重するためには、決定をするために必要な情報提供をしたり、信じて待つことも必要なのではないか。
常識で考えるのではなく、まず本人の話を否定せずに聴く、受け止めること。
クライエントから発せられる情報にアンテナを張ることやクライエントのわずかな変化を見逃さない、感性を働かせること。
③明日からの決意、展望、抱負など
MHSWとして働く上で「自己決定の尊重」という大切な価値観を改めて言語化し、確認することができ、明日からの勤務の糧にしたいと思った。
それぞれ異なる職域で勤務しているMHSWではあるが、共通の価値観を有していることが心強く感じられた。
それぞれのグループからの発表後、再度石井さんからコメントをいただいた。石井さん自身は、今回の話題提供の中で自己決定の尊重ができているかどうか手ごたえがないところもあったと感じていたという。しかし、かかわりを続けていく中で、思ったことを言い合える関係が構築され、「寄り添ってもらえている」とクライエントから言ってもらえたことが嬉しかったとのこと。今回の研修を通じ、様々な職場で働いているMHSW自身が「自己決定」を大切にしている専門職であることを改めて実感したと締めくくった。
最後に、齋中会長より、今年度6回の研修の総括をされた。
今年度、香川県精神保健福祉士協会は年間6回の研修を実施した。この回数は、全国2位の多さである。また、研修内容は他県に比べ、グループワークを研修内容に盛り込むと、参加者数が多くなる傾向。研修に参加する回数分、そのアウトプットの機会を得ることができるとも言える。普段考えていることや感じていることをアウトプットすることは、専門職として成長する上でとても大切なことである。繰り返し参加することで、考えを構築する幅が広がる。MHSWである我々がレベルアップできるようにしないと、MHSWという資格が淘汰される恐れがあることを我々自身が自覚し、自己研鑽を継続していくことが必要であるため、多くの会員が研修に参加することを求めたいと締めくくった。
報告 平田 哉(丸亀少女の家/香川高専)