課題別研修Ⅰ報告
【日 時】 2023年7月7日(金)19:30~20:30(オンライン)
2023年7月21日(金)19:30~21:00(対面)
【テーマ】 精神保健福祉士が面接で大切にすること
~『かかわり』論に基づくソーシャルワーク面接とは~
【講 師】 しょうがい者生活支援センターふらっと 詫間佳子氏
【参加者数】 14名
●研修報告
面接技法を学ぶ機会は少なく、独学や自己流で面接に臨んでいることが多い現状がある。今回の研修は面接技法について理論的に学び、理論を理解した上で技術を習得することを目的に、2回にわたり開催された。
1回目の研修はZoomを用いておこなわれた。齋中会長の挨拶の後、詫間佳子氏による柏木昭先生の『かかわり』論を軸にした面接技法について講義があった。まず、『かかわり』について、自らの目の前にいる一人のひと(クライエント)と向きあうことから始まり、ともに織りなすといった過程そのものが『かかわり』であると説明があった。そして、「ワーカーはクライエントの苦難をともに背負い、歩みをすすめる協働者であること」と、「クライエントとワーカーは相互主体的な関係であり、双方向な対話に基づいた関係性の構築が必要だ」と語られた。クライエントが自分の意思で選び取った道をすすんでいく時に、そのプロセスの一部にワーカーはかかわっていく。しかし、クライエントが自己決定できない時は、ワーカーのかかわり方に課題はないだろうか。そして、潜在的可能性をもつクライエントに対し、自ら語る自由を保障し、相互主体的な関係において『かかわり』にかけた時間の経過など、クライエントにとって十分な保障があっただろうか。それらがワーカーに問われると提起をされた。『かかわり』の面接技法には“ストレングスの視点”と“相手の話に聴くこと(クライエントの気持ちに寄り添いながらかかわりを共につくっていこうとする姿勢)”、さらに効果的な“Solution Focused Approach(ソリューション・フォーカスト・アプローチ)”の技法を使った面接方法について具体的な例を用いて説明があった。
講義終了後、次回の研修に向けて、①1回目の講義を聴いて自分の実践を点検しながら業務をおこなう、②守秘義務のある面談を想定したロールプレイのクライエント役で何を相談するか(実際の困りごとや悩み)を決めてくる、という2つの課題の提示があった。
2回目の研修は対面形式でおこなわれた。まず、前回の講義内容を踏まえて、業務のなかで取り組んだこと、感じたことなどを共有した。「面接の場面ではSolution Focused Approachの技法は常に意識していないとできない」、「沈黙の時間が怖くて待ちきれない」という意見が出た。
次に二人一組に分かれ、15分間のソーシャルワーク面接のロールプレイをおこなった。ワーカー役とクライエント役を交代して互いに自己評価や振り返りをおこない、その中での気づきを全体で共有した。ロールプレイを経て、参加者からは「相談内容が自身の悩みということもあって、より実践に近い面接になり、共感を得られることが非常に嬉しいものであり、認められることの大切さに気づいた」、「クライエントとして話すことで結果が大事ではないと実感した」、「どのように聞いてもらえると話しやすいかを体験することができた」、「ロールプレイを通して自分の態度や姿勢、言動について客観的に知ることができ、新たな気づきを得ることができた」との意見が出た。また講師の詫間氏からは振り返りのなかで、クライエントが家族や友人ではなくワーカーに話すことの意味を考え、クライエントの言葉を引き出すのが技法であること、問題を解決するのはクライエント自身であり、面接の中でワーカーが解決しそうになっていることに気づいたときはその時点でそこから修正をしていけばいいと話された。
今回のような2回連続の研修は、2回目までの間に課題設定があることで実践での試みができ、自己点検に繋がった。ロールプレイでは実践で活きる気づきを得て、丁寧な振り返りや考察をすることで面接時に必要なワーカーの態度や姿勢について理解を深めることができた。クライエントとの関係性の構築や状況整理の仕方など実践でより求められる技法・技術について学ぶ機会となった。
(障害者地域生活支援センターほっと 福本美也子)